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【雑感】「理系が弱い」と言われがちな小規模大学への進学を検討するときに考えることーICUを例にー

大学受験

国際基督教大学(ICU)の理系コースへの進学を検討するにあたり、そこでの専門的な学びの深さを心配するご質問を先日Xで頂きました。その時の回答を加筆・再構成して以下記述します。

学部レベルで専門性の差は出ない

個人的な見解としては、まず学部レベルで学べる内容の専門性に差が出ることはないと思ってます。例えば物理学を専攻して学ぶならICUでも東大でも基本的に同じことを学んでいくはずです。どこの大学であっても学ぶ定理は同じであり、力学や電磁気学を学び、統計力学や量子力学を学びといった具合の学部課程のカリキュラムに大差はないでしょう。

大学ごとに差が出るのは研究室のラインナップ

では大学によってどこに差が出るかというと一番大きいのは研究室のラインナップです。

ICUのような小規模大学では教員数が少なく、選べる研究室の数も少ない訳です。そうなると、ある専攻の中で自分の興味のある特定分野の研究室が一つしかなかったり、場合によってはそれが学内に存在しないということも珍しくありません。一方で一つの専攻に多数の教員を抱える大学だと、専攻の分野の中でより幅広い範囲から選ぶことができたり、興味のある分野によっては複数の研究室が該当することもあるでしょう。

ラインナップの広さとそれぞれの研究の深さは相関しない

ただ、だからと言って小規模大学の専門性が浅いということは考えづらいです。特にICUのような名の通った大学であれば研究業績の豊富な教員が揃っているはずですので、そこで行われている研究がその分野で他大学のそれに比べて「浅い」ということはないでしょう。学生個人レベルで考えると、幅広い研究室ラインナップを抱える大学であろうが、限られたラインナップの大学であろうが、一つの研究室に配属されて研究するわけです。そこでの研究活動にどこまで差がでるでしょうか。

他大学大学院進学という選択肢

また、もし学内の研究体制や設備に不足を感じるのであれば大学院で自分の希望に合った大学に行けばいいという考え方もあります。大学での勉強を始めてからの方が専門分野に対する解像度が上がりますし、教員や先輩、同級生からいろんな情報も入ってきます。それらを踏まえて自分はどの分野に進みたいのかを考えた方がより良い選択をできるようにも思います。そこで自分の大学よりも他大学の方が良いと思えば大学院でそちらに進学すれば良いでしょう。

ちなみに理系では東大や東工大のように大学院の定員が多い大学やJAIST、NAIST、総研大といった大学院大学も存在するので、他大学大学院への進学のハードルはそこまで高くないです。実際ICUも東大院への進学実績がありますね。

ICUの物理学メジャーを例に考えてみる

ちょっと気になって自分が少し知見のある物理学について少しICUの体制を見てみましたが、物理学メジャーの専任教員は5人で、例えば素粒子物理学や宇宙物理学を専門とする先生は見当たりません。こうした点をどう解釈するかという話になります。もし私が考えるとしたら、まだどのメジャーを専攻するかというレベルで興味のある分野が定まっていないのであればそこまで気にしなくていいように思いますし、ある程度具体的に「宇宙の成り立ちに興味があって物理学を学びたい」というような場合にはあえてICUを選ぶこともないのかな、といった具合でしょうか。

では小規模大学のメリットとは?

ここまでの記述を冷静に見てみると、実は小規模大学を選ぶ理由がないんじゃないかと思う人もいるかもしれません。ここで私が考えるそのメリットについて少し述べてみます。

まず、小規模大学は各専攻内の選択肢が限られる反面、専攻自体を広い範囲から選べる場合が多いです。ICUは理系はおろか文系まで選ぶことができるのでその際たる例ですね。ICUほどでなくても、例えば私が卒業した上智大学理工学部機能創造理工学科だと、機械工学・電気電子工学・物理学の中から専門分野を選ぶことができます。最近は大規模大でもそういう複数領域から専攻を選べるところが増えてきましたが、まだまだ一般的ではないでしょう。

もう一点は、小規模大学は教員一人当たりの学生数も少ない傾向にあります。教員との距離が近く、よりインテンシブな指導を受けられる場合があります。

おわりに

最後になりますが、小規模・大規模という観点だけでなく大学の数だけ特徴があるので、大学選びの際にはどこが自分にとって良い大学なのかをよく考えて選べると良いのではないでしょうか。この記事もその一助になれば幸いです。

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