国立蹴って私大に行った身なので、私大を貶す過度な国立至上主義には反対だが、国公立大学工学部はどこであっても偏差値に拠らない価値があると思っている。私大理系志望の人も出願するだけしてみたらどうだろう。
何がそんなに良いかというと、まずは学費、これは説明不要だろう。そしてそれもさることながら、やはり就職。地方だと就活は大変な面もあると思うが、今はリモート面接で済むことも多いし、説明会くらいなら会社の方からやってくる。メーカーへの就職で学校名で苦労することは無いだろう。
前職時代、研究開発職の新卒採用が特に高学歴の傾向があったが、私大はMARCH以上の高偏差値大学で占められていた一方で、国公立はどの大学からも採用されている印象があった。そして、人事採用担当のスケジュールを見せてもらった時、全国の国公立大学に出向いて説明会を実施していたのが印象に残っている。地方国公立大学については毎年いくつかの大学から採用されていたが、一部の大学を除き特定の大学からの採用がコンスタントにあるわけではなかった。しかし、それでもわざわざ東京から採用担当者が赴いて各大学で説明会を開くということは、会社側に国公立大学の学生を採用したいという考えがあったのではないかと思う。
私大理系志望の人は、入試方式・対策の違いがあるので国公立なんておいそれと受けられないと思うかもしれないが、もし共通テストを受けるつもりなら受験自体のハードルは低いだろう。私大受験が終わってから二次試験まで1週間以上は時間があるはずなので二次試験対策も少しはできる。二次試験を受けにいく手間があるが、前日入りできるなら大抵の大学が受験できるだろう。近年は大学所在地以外の都市に受験会場を用意している国公立大学もある。その日だけ頑張って早起きすれば受けられる国公立大学もあり得るのだ。本命じゃないならそんな受験計画でも良いだろう。
行くかどうかは受かってから決めればいい。受かってみたら行きたくなることもある。僕は逆のパターンで受験前は国立大に行く気満々だったのに、いざ結果が出ると私大の方に行きたくなってそっちに決めてしまったが、選択肢があるということはそれだけで価値がある。自分が選び取った進学先であるという自覚は、自信や納得感につながるのだ。受かっちゃったら国公立に進むもよし、当初の予定通りの志望校に進むもよし、落ちても本命対策してないのだから当たり前、損することはほとんどない。こんな受験もあってもいいだろう。