【金属素材研究に強み?】島根大学材料エネルギー学部のグローバル教育が気になる件【オックスフォード大学と連携】

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先日、島根大学材料エネルギー学部(2023年4月新設)のHPを見ていたら、気になる記述を見つけました。

オックスフォード大学(英国)やヘルシンキ大学(フィンランド)と連携したグローバル教育を行います。

島根大学材料エネルギー学部「材料エネルギー学部の教育の特色」:https://www.mat.shimane-u.ac.jp/introduction/rinen_tokushoku/features.html

オックスフォード大学は言わずもがなですが、ヘルシンキ大学も各種世界大学ランキングで100位以内に入ってくるような名門大学です。そうした大学と連携したグローバル教育を行う新設学部とはどんな学部なんでしょう。そしてグローバル教育とは具体的にどんな教育が実施されるのか気になったので、少しだけ調べてみました。

そもそも材料エネルギー学部の専門分野とは?

学部名には「材料」「エネルギー」とありますが、基本的に「材料」の勉強をする学部のようです。エネルギーは背景にある解決すべき課題の領域であり、材料・素材の領域が専門分野となります。また、マテリアルズ・インフォマティクス(統計分析などを活用したインフォマティクス(情報科学)の手法により、材料開発を高効率化する取り組み1)も新しい学部教育の柱として掲げています。そのため、機能性材料を含む金属分野や有機・無機化学を専門とする教員だけでなく、情報分野の教員も加わっている陣容になっているようです。

https://www.mat.shimane-u.ac.jp/introduction/rinen_tokushoku/

公式HP内では島根大学初の工学部との言及があります。ちなみに島根大学には総合理工学部という理系の既存学部があり、学部新設の際に総合理工学部から移籍した先生方も一部いますが、新しく他大学などから招聘された先生が多い印象です。

金属素材研究に強み?

さらに調べてみると、この材料エネルギー学部はぽっと出の新設学部ではなく、内閣府「地方大学・地域産業創生交付金事業」に採択された島根県の先端金属素材グローバル拠点創出事業「次世代たたらプロジェクト」の流れの中に位置付けられることが分かりました。

「次世代たたらプロジェクト」とは「たたら製鉄の伝統が息づく島根の地で、島根県内の特殊鋼企業と島根大学が、それぞれが蓄積した知見を相乗的に発展させて、新材料の研究開発を行2」うプロジェクトで、「新材料」とは具体的には今後需要の伸びが予測され性能向上が求められているEVモータや航空機エンジンに用いられる金属素材を指すようです。また、島根県内の特殊鋼企業とは主には金属メーカー大手のプロテリアル(旧日立金属)のことを指し、「次世代たたらプロジェクト」の事業責任者にはプロテリアルの役員が就いています。

https://www.pref.shimane.lg.jp/industry/syoko/sangyo/kyousou_project/monodukuri_henkaku_pj/specialtysteel/tokusyukou.html

上の画像は島根県のHPに載っていたたたらプロジェクトの概要を示すスライドです。こちらの中で島根大学の記述を見ていくと、まず「金属材料に関するトップレベル研究の実践」とあり、大学内に「次世代たたら協創センター」という研究機関が設置されていることが分かります。こちらにはオックスフォード大学のリード教授の研究チームを招聘とあり、そのリード教授がセンターの所長に就任しています。また、後の材料エネルギー学部に繋がる新コースについても言及されていますね。

専門的なことは分かりませんが、島根大学材料エネルギー学部はこうした事情から、金属素材研究に強みがある印象を受けました。

グローバル教育の内容(推測)

さて冒頭で注目した島根大学材料エネルギー学部のグローバル教育ですが、学部設立時の構想を示したスライド3に少し具体的な記述を見つけました。海外からのオンライン講義、海外研修といったプログラムが想定されているようです。

さて、前述の通り、次世代たたら協創センター所長にオックスフォード大学のリード教授が就任していることは、材料エネルギー学部が単にオックスフォード大学教授との交流があるというようなレベルの話ではなく、身内の関係者にオックスフォード大学教授がいるということを意味します。このような環境はなかなか国内大学では珍しいのではないかと思います。

また、次世代たたら協創センターのHPでは、新学部設立以前に、センターからオックスフォード大学への学生派遣の短期研修プログラムが実施されていたことを確認できました4。このプログラムには当然、センター所長のリード教授が関わっており、大きな役割を果たしていることが分かります。推測ではありますが、少なくとも同等の海外研修プログラムが材料エネルギー学部でも実施されるのではないでしょうか。

おわりに(+妄想)

材料エネルギー学部のHPを見ていると、前述のオックスフォード大学との関わりは特にアピールされていませんが、この点を含めたグローバル教育は個人的にはかなり魅力的だと思いました。海外名門大の教員のオンライン講義を受講したり、海外研修プログラムへ参加したり、こうした教育内容をうまく活用できれば世界を視野に入れて材料工学の道を修めていくことができるでしょう。

そして、海外名門大の教員が大学・学部の関係者であり、直接コネクションを作れる可能性があると言う点はかなり貴重です。個人的な妄想を大いに含みますが、例えば海外大学院への進学に一つ有利になる要素を秘めていると感じました。まだ学部設立から間も無いながら、失礼ながら大きな話題を呼んでいる様子も、人気を集めている様子もありません。今この分野に興味のある方にとっては穴場の進路ではないでしょうか。

  1. https://www.hitachi-hightech.com/jp/ja/products/ict-solution/randd/ci/or-mi01.html ↩︎
  2. https://tatara.shimane-u.ac.jp/about/index.html ↩︎
  3. https://www.mat.shimane-u.ac.jp/docs/2022111400041/file_contents/20220610shimanedaigaku.pdf ↩︎
  4. https://tatara.shimane-u.ac.jp/student/nexta_friends_docs/2022081200016/ ↩︎
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