ネット上で度々議論が起こるこちらのテーマについて、私大理系院卒、元電気機器メーカー技術系総合職の筆者(詳細プロフィール)の一私見をいくつかの観点から述べてみたいと思います。
教育・研究
教育や研究レベルの違いは大学や専門分野により様々で一概にMARCHと地方国立大がどちらが優れているとは言えませんが、一つ確実に言えるのは、教員一人当たりの学生数(S/T比)が国公立大のが少ない傾向にあります。S/T比の少なさにおいては地方国公立大の方が良いと思います。
就職
一言で言えば、どちらも十分に良いです。大きな差がつくのは文系就職についてで、文系学部の含めて卒業生を多く有名企業に送り込んでいるMARCHに分があります。技術系就職については、まず国公立大は入学偏差値がどんなに低い大学でも評価が高いです。一方のMARCH理系も、ネット上の一部界隈の評判に反して実態はかなり良いです。どちらも修士課程まで進めば、かなりの割合の学生が大手企業に就職しているはずです。就職活動のしやすさという点で、東京あるいは東京近郊に所在するMARCHに分がありそうですが、大手メーカーなどは多くが各国公立大学で説明会を開催していますし、今はオンラインで選考が完結する会社もあるので、イメージほどの差はないかもしれません。
学費
こちらは当然国公立大が安いです。理系だと年間100万円くらいの差があります。自宅通学でMARCHに通うのと下宿で国公立大に通う場合の比較で、トントンくらいでしょうか。
学生生活
一番違いが出るのはここですね。東京圏で学生生活を送るか、地方で送るかの違いがあります。優劣はありませんが、個人の嗜好でどちらが好みか分かれるのではないでしょうか。例えば、東北地方の某国立大学出身の友人は学生時代、趣味のスキーやトレッキング三昧の日々を送ったという話をしていました。こうしたライフスタイルは都心の大学ではなかなかできないものでしょう。逆もまた然りで、私は都心の大学に通っていましたが、平日の放課後に格安の当日学生券を買ってプロオーケストラのコンサートを聴きにいったりしていました。
また、大学の立地だけでなく、キャンパスの学部構成も学生生活に及ぼす影響は大きいものと思います。この点について注意が必要なのは、MARCH理系は立教理学部や法政デザイン工を除くと、基本的には理系キャンパスが独立しているところが多く、一般にMARCH各校の学生生活で想像される華やかなイメージとは異なるかもしれません。国公立大学についてはキャンパスの構成は大学により様々で、工学部が独立したところもあれば、全ての学部が同じキャンパスに設置されている大学もあります。
おわりに
さて、この比較について私の持論は、どちらも素晴らしいから好きな方に行きましょう、です。私は友人にどちらの出身者もいますが、彼らの話を聞く限り、どちらも良い印象しかありません。ネット上ではたまにどちらが優位と断定されている話を見かけますが、そう簡単に優劣をつけられる比較ではないでしょう。ただ、個々人にとってどちらがより合っているということはあると思います。ですので、もしどちらかに対して良いなと思う点が何かあるなら、それが正解でしょう。多くの方が納得のいく大学選びをできることを願っています。