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結論から言いますと、中学受験の一大要素である志望校選びにまつわる基本的な情報や考え方がコンパクトにまとまった良本と思います。中学受験界隈の視点だけでないメタ的な視点も含まれているのが尚良しです。
これは万人にとって良いということではなく、例えば既に中学受験の事情通の人には物足りなさやツッコミどころがあるでしょう。でもそうした人たちはターゲットではないはずです。本書のターゲットは中学受験や昨今の首都圏中高一貫校事情に疎い人だと感じました。その点を踏まえると「良い」ということです。
何が良いかというと、今までは本・ブログ・塾の資料などをいくつも当たってようやく得られる「見取り図」的なものがこの一冊で得られるようになったのではないかという点です。もちろん細かいところは各人が探っていく必要がありますが、最初に本書で土地勘を身につけるメリットは大でしょう。
実際に中学受験に突入していくと、我が子との相性など各家庭に特有の視点での情報収集・分析・解釈が必要となりますし、また、オフィシャルには中々出てこない実情を探っていく必要性も出てくると思います。一方で、学校や塾から発出される様々な情報、書籍や雑誌などのメディアから得られる情報に加え、SNSやWeb掲示板などに出てくる情報と、とにかく玉石混交、有象無象、ピンからキリまで大量の情報が流れてきます。そういう世界に飛び込むときに、本書でベースの知識が得られているとうまく泳いでいけるのではないかと思った次第です。
実は僕は本書中の母校についての記述のファクトチェックと情報提供に協力しました。最初にもらった原稿の時点でほぼ完成されていて、また、煽りや誇張を感じさせない抑制的なトーンの書きっぷりに信頼感を覚えました。このことから他校の箇所もある程度裏取りもされた良心的な記述になっていると思います。学校からのオフィシャル情報がベースの学校案内系の書籍では出てこない話まで扱いつつも、学校別のWeb掲示板などに書かれているような嘘か本当か分からないレベルの話に触れることはない、という匙加減が妙を得ていると感じました。
今後中学受験を考えている方には一読の価値のある本です。最初に本書を読んでから、中学受験の大海に飛び込みましょう。