本記事では東京農工大学工学部について調べたことをまとめます。学部全体について記述をしていきますが、馴染みのある機電系についてのみ言及しているところもありますがご容赦ください。記事中の情報は基本的に全て執筆時の2024年2月〜5月時点で確認できた情報となります。
筆者の属性について簡単に述べると上智理工修士卒(機電系学科→電気系研究室)、元電気機器メーカー技術系総合職といった具合になります。(詳細プロフィールもご参照ください)以下、こうした属性からの偏った視点による内容とご理解ください。
学科構成 [1]
- 生命工学科
- 生体医用システム工学科
- 応用化学科
- 化学物理工学科
- 機械システム工学科
- 知能情報システム工学科
工学部は2019年に改組され、学科数が減りました。個人的には電気電子工学科がなくなり、旧情報工学科と共に知能情報システム工学科になったことに驚いています。建築・土木系を除く工学系分野の多くを擁しています。パッと見た感じでは生命・化学系学科が充実している印象です。
学生数・入学定員
学生数 [2] 2022年5月1日現在
学科 | 男 | 女 | 合計 |
---|---|---|---|
生命工学科 | 170 | 187 | 357 |
生体医用システム工学科 | 153 | 92 | 245 |
応用化学科 | 208 | 136 | 344 |
化学物理工学科 | 265 | 80 | 345 |
機械システム工学科 | 415 | 48 | 463 |
知能情報システム工学科 | 444 | 95 | 539 |
生命工学科(2018年入学以前) | 10 | 2 | 12 |
応用分子化学科(2018年入学以前) | 2 | 3 | 5 |
有機材料化学科(2018年入学以前) | 6 | 3 | 9 |
化学システム工学科(2018年入学以前) | 4 | 1 | 5 |
機械システム工学科(2018年入学以前) | 23 | 1 | 24 |
物理システム工学科(2018年入学以前) | 12 | 1 | 13 |
電気電子工学科(2018年入学以前) | 21 | 1 | 22 |
情報工学科(2018年入学以前) | 19 | 1 | 20 |
学部計 | 1,752 | 651 | 2,403 |
生命・化学系学科を中心に女子学生比率が高いですね。機電系学科でも1割以上と他大より高い印象です。
入学定員 [2] 2022年5月1日現在
学科 | 入学定員 |
---|---|
生命工学科 | 81 |
生体医用システム工学科 | 56 |
応用化学科 | 81 |
化学物理工学科 | 81 |
機械システム工学科 | 102 |
知能情報システム工学科 | 120 |
学部計 | 521 |
今回国立大学工学部を調べたのは初めてなので国立大学としてどうなのかはわかりませんが、私大理工系学部と比べると学生数としての規模感は少し小さい印象です。また3年次編入の定員が全体の1割以上の規模で設定されているのは、主には高専からの編入学を多く受け入れていることが推測できます。
教員数とS/T比
2023年5月1日時点の専任教員数は155(工学部系の研究組織である工学研究院所属の教員数)でした[3]。この教員数と前出の学生数は年度が異なりますが、教員数の変動は少ないであろうと推測されるので、これらの数値から専任教員一人当たりの学生数(S/T比)を参考値として算出すると、15.5でした。
当然といえば当然ですが、今まで調べたどの私大よりも低い水準です。(今まで調べた私大で最小値は青学理工の21)
キャンパス
小金井キャンパス [4]
東京都小金井市中町2-24-16
JR中央線東小金井駅から徒歩8分
工学部の全学年がこちらのキャンパスで学びます。少し郊外ですが、中央線の東小金井駅から徒歩圏内で便利な立地でしょう。敷地はかなり広い印象です。駅を挟んで反対側には法政大学理工学部のキャンパスもあります。
学費
東京農工大学工学部の初年度納入金は924,960円(授業料年額642,960円、入学金282,000円)です[5]。
2024年入学者から学費が上がりました。国立大学の授業料標準額よりも年額10万円ほど高くなっています。
設置年など [6]
1874年 内務省勧業寮内藤新宿出張所蚕業試験掛設置(その後、農商務省蚕病試験場→蚕業試験場→仮試験場蚕事部→蚕業試験場→蚕業講習所→東京蚕業講習所→東京高等蚕糸学校→東京繊維専門学校と変遷)
1949年 東京農工大学繊維学部設置
1962年 繊維学部を工学部に改称
1966年 大学院工学研究科(修士課程)を設置設置
1989年 大学院工学研究科(修士課程)を工学研究科(博士前期・後期課程)に改組
東京農工大学工学部の前身を辿ると明治初期に設置された機関にまで遡ることができます。戦後の学制改革までは農学部の前身組織とは別でしたが、新学制の元で統合されて、東京農工大学繊維学部としてスタートしました。その後繊維学部から工学部に改称し、現在に至ります。
進路について
院進学率
少し古いデータですが、平成28年度の調査によると工学部の院進学率は79%とのことです[7]。学部全体で8割ほど、学科によってはもっと高いところもあるでしょう。院進学がマジョリティであることがわかります。
就職
残念ながら就職実績について大学としての公式情報は見当たりませんでした。学科によっては多少情報を出しているところもありますが、こちらもデータが限られているので今回は紹介を控えさせていただきます。
個人的な感覚としては農工大工学部の就職はかなり良い印象があります。特にメーカー等の技術職への就職は国内トップレベルに良いでしょう。就職実績についてご紹介できないのは残念ですが、就職を心配して避けるような大学ではありません。
参考情報ですが、今回東京農工大学の「企業情報掲載WEBページ」というWebページを見つけました。こちらに掲載されている企業は農工大からの採用に意欲のある会社であると理解することができます。どういった会社が農工大出身者を採用したがっているか一つの参考になるかと思いますのでご興味があればぜひご覧ください。
おわりに
個人的に東京農工大学は大学受験を意識し始めた時に志望校として考えた大学の一つでもあり、思い入れがあります。生協の白石さんも読みました(笑)世間一般の知名度は高いとは言えませんが、東京周辺の国立理系志願者にとってはメジャーな存在でしょう。また、新卒で入社したメーカーでは農工大出身者が一大勢力を誇り、製造業界隈でもまたメジャーな存在であることも記しておきます。
今回「理工系大学調べてみた」シリーズの記事で初めて国立大学を取り上げました。私立大学と比べると情報開示が少ない面もあり、これまでの記事に比べていくつかのポイントで情報に不足感があることはご容赦ください。
以上、最後までお読みいただき、ありがとうございました。もしコメント等ありましたらX(旧Twitter)でのDMでご連絡いただければと思います。質問箱(マシュマロ)への質問も随時受け付けています。
(おまけ)
以下の農工大関係者の本を中学生の時に読んだことが、農工大を認知したきっかけであり、農工大いいな!と思ったきっかけでもあります。思い出補正モリモリですが(笑)、おすすめです!(PR)
生協の白石さんの舞台となったのは工学部の生協です。
著者の当時ブリヂストンの浜島氏は農工大工学部出身。帝人の奨学金をもらっておきながらブリヂストンに就職した話が印象に残ってます。「理系の就職ってこんな感じなのかぁ」と思った記憶があります。
出典
[1] 東京農工大学.「工学部」https://www.tuat.ac.jp/department/engineering/, (参照 2024-02-27)
[2] 東京農工大学.「学生数」https://www.tuat.ac.jp/documents/tuat/campuslife_career/campuslife/number/20220501gakubuseisu.pdf, (参照 2024-04-24)
[3] 東京農工大学.「職員の現数・年代別教員数」https://www.tuat.ac.jp/documents/tuat/outline/data/shokuinkoubo/r05_shokuin.pdf, (参照 2024-04-24)
[4] 東京農工大学.「交通・キャンパスマップ」https://www.tuat.ac.jp/outline/overview/access/, (参照 2024-03-05)
[5] 東京農工大学. 「授業料・入学料等」. https://www.tuat.ac.jp/campuslife_career/campuslife/fee/ryoukin/, (参照 2024-04-25)
[6] 東京農工大学.「沿革」https://www.tuat.ac.jp/outline/overview/history/, (参照 2024-05-13)
[8] 東京農工大学.「データでみる農工大」https://www.tuat.ac.jp/outline/data/, (参照 2024-05-17)